京都府の北の端にある伊根町は舟屋で有名で、テレビや雑誌でしょっちゅう出てきます。一度は行ってみたいと思っていたので、梅雨の晴れ間に行ってきました。
船屋は海沿いに建てられた2階建ての建物で1階は船置き場、2階が居住空間になっています。
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テレビで見た時は「こじんまりと数十件あるくらい」という印象を持っていましたが、実際は230軒もありました。
丘の上に建てられた道の駅の展望台から見える、海岸線にずらっと並んだ舟屋には圧倒されます。
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伊根町に舟屋を作れたのは、独特な地形のおかげがあります。
-湾の入り口にある、青島が天然の防波堤になっている。
-岸からストーンと海が落ち込んでいる
-干満差が数十センチしかない
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海のきれいさ、深さは岸壁からよくわかりました。
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舟屋が立ち並ぶ通りを歩けますが、舟屋の様子がわかるのはごく一部。
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そのため、海から見るのがおすすめの観光方法です。遊覧船を使う方法と海上タクシーを使う方法があり、私はより面白そうな後者を選びました。
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(写真は、私が乗った成洋丸のFacebookから引用)

船乗り場から海岸線沿いに湾内を巡り、舟屋の独特な構造がよくわかりました。船長さんの楽しいトークも楽しめ、「海上タクシーを選んだのは大正解」と思いました。
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途中、ウミネコに餌をやるコーナーがありました。船から投げたかっぱえびせん目掛けてウミネコがやってきました。見事に空中キャッチする鳥もいました。ウミネコに混じって、トンビも数羽やってきました。
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昼食は伊根浦公園そばにある舟屋食堂にて。成洋丸の船長から、いま岩ガキがシーズンだと聞いたので食べてみました。レモンと比べると大きさがわかります。生で食べました。臭みが全くないとてもマイルドな味でおいしかったです。伊根の海で採れた魚を使った舟盛定食もおいしかったです。
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そこから歩いて数分のところに、向井酒造がありました。工場が海に面していて、日本で一番海に近い酒蔵とのこと。1754年(宝暦4年)の創業。何故、漁港の伊根町で酒造りをしようと考えたのか興味がありますが、向井酒造のサイトが改修中で蔵の歴史の詳細がわからず、ググっても情報が出てきませんでした。想像するに、ハードワークの漁師さん達の癒やしとしてニーズがあり、「ならばワシが作る」と創業者が思い立ったのかも。
ドングリやシイノキが沢山生い茂る裏山の中腹の清水を仕込みとして酒造りが行われています(情報元)。
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杜氏は向井久仁子さん。子供のころは周りが漁師の息子・娘だらけで、家業が酒蔵だというのが残念で、杜氏になる気はなかったとのこと。無理やりみたいな感じで東京農業大学に進学。1998年に卒業し、埼玉県の神亀酒造で修行する予定だったが、家庭の事情でUターンして向井酒造に就職し、翌年には杜氏になったそうです(情報元その1その2その3)。先月行った、福知山市の東和酒造でも蔵元の娘さんが杜氏をされていました。京都府北部に2名も女性杜氏がいることに驚きました。

直売所に並べられたお酒のなかで私が選んだのは、メインブランドの「京の春」シリーズの純米生原酒。岡山県産の雄町を65%まで磨いて醸しています。アルコール度数は17度で、原酒として私にはちょうどよい強さです。色はやや黄味がかっています。多分、無濾過。
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口に含むと、じゅわっと濃厚さと豊潤さが口の中に広がります。ややフルーツ系のまろやかさも感じ、思ったより複雑な味わいになっています。力強さを感じる面白い味です。「これくらいのパワーがないと、伊根の魚とマッチしないのかも」と思いました。